赤錆が発生する仕組みとは

  • 2018.07.16 Monday
  • 22:00

赤錆が生じる仕組みについて解説します。

 

どうにも色々気になってしまったので調べていました。

 

一般的に赤錆と呼ばれるものは酸化鉄(III)Fe2O3を指しています。鉄Feが酸化鉄(III)Fe2O3に変化したことを錆びたと言うわけですね。赤錆が生じるには水と酸素が必要ですが、化学的にはどう必要なのでしょうか。


今回は整備や工具・ケミカルとは直接的な関係は無い話です。

 

化学的にどうこうなんて話は興味が無い!と言う人は一番下までスクロールして下さい。結論があります。

 

まず最初に、鉄Feから考えて行きます。

 

Fe → Fe+2 + 2e-   (1)

 

これは鉄が酸化して鉄(II)イオンFe+2となる反応です。この際に電子e-が2mol放出されますが、この式単体のみの反応は起こりません。電子が放出されるということは、電子を受け取り還元される反応が必要です。もしそれが無ければ見る見る内に鉄がボコボコ穴だらけになってしまいます。

 

結論から先に書いてしまうと電子を受け取る反応は、

 

Fe + 1/2O2 + H2O → Fe(OH)2   (1’)

 

です。

 

うーん・・・、まあ、その、だから何なんだ。反応式だけ見せつけられても納得できません。そういうわけで少し詳しくやってみましょう。

 

まず、酸化還元は酸化数の増減によって決まりますが、もっとも初歩的な定義は「酸素を得ることが酸化、酸素を失うことが還元」でした。そうなれば、酸素とは酸化剤(相手を酸化させる)であると見ることができます。

 

酸素の酸化剤としての反応式は、

 

O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O

 

です。水素イオンH+と電子を4mol受け取って2molの水H2Oをつくります。忘れがちですが、酸化剤とは相手を酸化させるものであって、自身は還元します。この場合は酸素の酸化数は0→-2と減って還元されています。

 

おお! 電子を受け取る反応が出てきましたね! 代数式的に電子の係数を(1)式と揃えたいので、

 

1/2O2 + 2H+ + 2e- → H2O   (2)

 

とします。

 

が、しかし、これでもまだ反応式としては不足です。電子を受け取る反応は出てきましたが、酸素が酸化剤として機能するためには今度は水素イオンが必要です。(1)式で生じているのは鉄(II)イオンです。2molの水素イオンを一体どこから引っ張ってくれば良いのでしょうか。ここで、水の出番となるのです。水は僅かに電離している、というのが確かありましたね。

 

H2O → H+ + OH-

 

です。これだと水素イオンは1molしかないので、また代数式的に係数を揃えて

 

2H2O → 2H+ + 2OH-   (3)

 

にします。

 

さあ、準備は整いました。(1)(2)(3)式をまとめてみます。まずは何も考えずに式を並べて

 

              Fe            → Fe+2 + 2e-

1/2O2 + 2H+ + 2e- → H2O

            2H2O         → 2H+  + 2OH-

 

放出する・受け取るそれぞれの電子と水素イオンを消します。

 

Fe+ 1/2O2 + 2H2O → Fe(OH)2 + H2O

 

ここで、イオン結合により

 

Fe+2 + 2OH- → Fe(OH)2

 

さらに、水分子が1mol消費されるので、

 

Fe+ 1/2O2 + H2O → Fe(OH)2

 

と書き直すことができました。(1’)式と一致しています!

 

水と酸素があると鉄は酸化して水酸化鉄(II)Fe(OH)2となります。錆と言われるもので一番最初に出来るものがこれです。この時点での錆は赤くありません。つまり、いきなり赤錆ができるわけではないのです。

 

また(2)(3)式を一つにまとめれば、

 

1/2O2 + 2H2O + 2e- → H2O + 2OH-

 

同様に水分子が1mol消費されるので、

 

1/2O2 + H2O + 2e- → 2OH-   (4)

 

と書き直すことができます。この式の形だと電子を受け取る(鉄が酸化する)ためには、水と酸素が必要であり、生じた水酸化物イオンが鉄(II)イオンと反応することが明瞭になります。

 

ここで水酸化鉄(II)も更に酸化し、

 

2Fe(OH)2 + 1/2O2 + H2O → 2Fe(OH)3   (2’)

 

となって、水酸化鉄(III) Fe(OH)3となります。

 

ここでは、

 

Fe+2 → Fe+3 + e-

 

と鉄(II)イオンが鉄(III)イオンへ酸化しています。

 

(2’)式の電子の係数を揃えて

 

2Fe+2 → 2Fe+3 + 2e   (5)

 

とします。この鉄(II)イオンは水酸化鉄(II)のものですから、

 

Fe(OH)2→ Fe+2 + 2OH-

 

です。ここでも(5)式と係数を揃えて

 

2Fe(OH)2→ 2Fe+2 + 4OH-   (6)

 

そして、(4)(5)(6)式を並べて、

 

1/2O2 + H2O + 2e- → 2OH-

             2Fe+2       → 2Fe+3 + 2e-

            2Fe(OH)2   2Fe+2 + 4OH

 

さらに、

 

2Fe+3 + 6OH→ 2Fe(OH)3

 

なので、

 

2Fe(OH)2 + 1/2O2 + H2O → 2Fe(OH)3

 

と書き直すことができ、(2’)式と同じになりました!

 

水酸化鉄(III)の時点で錆が赤く見えるようになります。そして、この水酸化鉄(III)から水分が取れるとオキシ水酸化鉄FeOOHとなり、これは水和酸化鉄Fe2O3・H2Oと同じです。

 

2Fe(OH)3 → Fe2O33H2O

(  Fe(OH)3 → FeOOH + H2O  )

 

ようやく、目的の赤錆である酸化鉄(II)Fe2O3が出てきましたね!

 

この過程から判明するように、赤錆が発生するまでには何回もの酸化・還元反応が起こっているのです。繰り返しますが、赤錆が生じる前から既に錆は生じています。いきなり赤錆が生じるわけではなく、既に生じていた錆が目に見えるようになったのが赤錆なのです。

 

錆には黒錆と呼ばれるものもあります。こちらは赤錆と違って金属を腐食させず被膜で保護してくれるもので、ブルーイングはこの黒錆を発生させる手法です。黒錆は酸化鉄(II,III)Fe3O4で、鉄()イオンと鉄()イオンの両方を含んでいます。FeO・Fe2O3と表記されることもあり、これだと分かりやすいですね。

 

んんん? ということは失敗したブルーイングすぐに錆び錆びになるのは、ブルーイングした時点で酸化鉄(II)FeOの酸化が始まっていて、それが時間の経過で赤錆となって表に出てくるということになるのかな? 結果として、ブルーイング直後は黒かったのに真っ赤になってしまいます。ブルーイング液の反応を止めるために水で洗い流したら、即行で防錆オイルを塗布すれば尚更良いということに???

 

錆転換剤という赤錆を黒錆に変化させるケミカルも市販されていますが、鉄(III)イオンをどうやって鉄(II)イオンに還元させているのか非常に興味が湧きます。wikipediaを見てみると水素によって還元(水素は還元剤で2H→ 2H++ 2e-)するなんて製法があるようですが・・・。それならば、今度は水素をどこから引っ張ってくるのでしょうか。勝手な推測ですが水かなあ? 図書館へ行くかメーカーの担当者に聞くかしないとこれ以上はお手上げです。

 

何だか最近錆について考え出すと止まりません。キリが良いところで終わりにして記事を更新します。実はこの記事を書くのに今までで一番時間がかかりました。推敲もしっかりやったつもりですが専門家ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違っていたらご指摘下さい。その際はできるだけ簡単に分かりやすくお願いします。

 

 

結論

 

錆させたくなければ水に濡らすな!!!

 

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