トルクレンチで締め過ぎを防止する

  • 2018.06.02 Saturday
  • 20:20

前回紹介したソケットレンチの地続きにトルクレンチという工具あります。

 

 

コンビネーションレンチとソケットレンチがどちらかと言えばボルトを緩める名目が先に立つのに対して、トルクレンチはボルトを締め付けるための工具です。

 

 

過去記事:最初に揃えるべき工具

 

まずトルクとは何でしょうか。トルクとは単位のことで[N・m](読み:ニュートンメートル)で表現します。Nとは力の単位F[N]のそれで、mは読んで字の如く距離d[m]のそれです。同じ力なら距離が離れているほど大きくなり、距離が同じなら強い力ほど大きくなるということが分かります。とりあえず、ボルトを締める(締め付ける)際の力加減だと認識すれば十分です。この力加減の管理がトルクレンチの役割となります。

 

たとえば8mmのソケットで回すような小さなボルト(M5)は、緩める際には何も考えることはありません。力を入れれば外せます。しかし、締める際はどうでしょうか。力任せにボルトを締めれば捩じ切ってしまったり、ボルト・取り付け部を潰してしまう、歪ませてしまったりするかもしれません。ボルトは緩まないようにしっかり締める必要がありますが、締め過ぎも良くないのです。トルクレンチを使うことでこの締め過ぎを予防することができます。○N・mの力で締めるとトルクを指定できますので、クランクケースやシリンダーヘッドなどの均等に締めるべき部分でも活躍します。本来の緩まないように締め付けるという役割よりも、原付の整備では締め過ぎないようにするのに使う場合が大半です。

 

BIKE HAND(バイクハンド) YC-617-2S コンパクトトルクレンチ レビュー

 

これは2N・mから24N・mまで対応しているトルクレンチです。

 

 

柄の部分を回してトルクを指定します。赤いゲージの先端が指しているのが指定トルクです。奇数トルクの指定は結構アバウトですがボルトを締め過ぎない目的は果たせます。

 

 

こんな感じでかなりコンパクトです。14mmのコンビネーションスパナよりも大きく17mmのよりも小さい。小さいということは持ち手までの距離が短く、距離でトルクを稼ぎづらくなるのですが、元々が小さいトルク用ですので問題ありません。

 

 

トルクレンチはソケットを使用します。これは差込角6.35mmなので同差込角のソケットレンチセットを持っていればソケットがそのまま使えます。ソケットレンチと同じように間にエクステンションバーも使えます。

 

特にこれはコンパクトで取り回しが簡単なのでとても使い易いです。原付の整備だと大半のボルトの締め付けトルクは20N・m以下なので、これ一本あるだけでボルトを締め過ぎることがまず無くなります。指定トルクに達したときにかちっとヘッドから伝わってくる手応えが指定トルクに達した合図です。かちかちと繰り返すダブルチェックは逆に精度がブレるらしいのですが……、クランクケースなど何本もボルトを締めるところではちゃんと締めたのか心配になるので、普通にやっちゃうことが多いですね。別にそれで問題が起こったこともないので、不安解消を優先しています。

 

これだけだと締め付けトルクが25N・m以上には対応できないので、もう一本買い足しました。

 

E-Value トルクレンチ ETR3-110 レビュー

 

デカい! 一つ目のトルクレンチの二倍近い長さです。重量は確実に二倍以上あります。獣に襲われても振り回せばこれで戦えそうです。

 

 

こちらも柄の部分を回してトルクを指定します。20N・mから110N・mまで対応しています。大きく(長く)重いということは一見使いづらくなるだけのデメリットのように思えますが、対応しているトルクが大きいので物それ自体がトルクを稼ぎ易いのはメリットになります。今まで整備していて最大の締め付けトルクはマフラーピボットナットやアクスルナットの59N・mです。そのあたりのトルクになるともうかなりがっちり締め付けることになります。この二点に関しては今度は緩めるのが大変なので50N・mちょいで締めてます。

 

トルクレンチの正しい使い方としては前述のダブルチェックはしないというのと、何回かに段階を分けて指定トルクで締めていくというものがあるようです。段階を分けるとはたとえば59N・mであれば30N・mあたりから指定トルクを大きくして行って締めていくということです。そう言いつつ、これも全くやっていないです。問題が起こったら何か書きますが、最近の車両でトルクレンチが無ければボルト一本ろくに締められないような柔なつくりをホンダがしているとは思えないです。スズキやヤマハも同様です。そういう細かいことはプロがやれば良いかと。

 

 

差込角は9.5mmで6.35mmよりも一回り大きいです。ソケットの差込角は大きさは対応しているボルトサイズだけでなく、トルクレンチにも関係してきます。6.35mmですと高々30N・mぐらいまでが大半です。逆に9.5mmになると、一気にトルクの範囲が広がる分、小さいトルクとは物が別々になってしまいます。二つ買ったのはそういう理由です。せっかくトルクレンチを買うのだから、下から上まできっちりやろうと思ったわけです。

 

ディープソケット 差込角9.5mm おすすめ

マルチクラフト ディープソケットセット 差込角9.5mm 9PCS

 

そしてこれが差込角9.5mmのディープソケット。ディープソケットとは普通のソケットより深さがある(長さがある)ソケットです。うーん、物が大きいんだしソケットも大きい方がいいでしょ、という理由でディープソケットにしたのですが、ここで素直に9.5mmのソケットレンチセットを買っていれば良かったかもしれません。特に以前紹介したソケットレンチセットにしておけば通常のソケットにディープソケットと合わせて揃ったんですよねえ。特にディープソケットのみで使っていて不満は無いのと、ソケットがダブるのが微妙に嫌で二の足を踏み続けています。

 

ディープソケット とは  長さ 比較

 

差込角6.35mmの8mmソケットとの長さ比較。ディープソケットの方が二倍以上長いです。ディープソケットのメリットとしては、まず第一に突き出しの部分が長いナットを回すのに使えることです。AA04だと油温センサーのナットをトルクレンチで締め付けるのに使いました。第二に常時エクステンションバー代わりになることです。実際使っている限りではこれが一番強力です。特にトルクレンチがデカいので、回すスペースを確保するためにはボルトからの鉛直距離を延ばさなければなりません。

 

私のような素人ほどトルクレンチは一つは持っておくと良いかもしれません。たとえば、チェーン調整で外したチェーンケースカバーの四本のボルトはM5で締め付けトルクが5.2N・mと指定されています。素人が5.2N・mと言われて、その力加減を想定することはできるでしょうか。私自身もそうでしたが、トルクレンチを使ったことがない状態では締め過ぎ(力の入れ過ぎ)が大半だと思います。たかがチェーンケースカバーですから特に厳守すべき部分ではありませんが、締め過ぎればねじ部が駄目になり易そうな部分だと察することはできると思います。小さいボルトほど締め過ぎになってしまう場合が多いので、無用なトラブルを予防するためにトルクレンチはかなり有用です。

 

この締め付けトルクはボルトによって決まっているので、慣れてくればこんなもんだろうとトルクレンチを使わずとも大体の力加減を調整することができます。

 

尚、トルクの値に正確さを求める人は、素直に万単位のデジタル式のトルクレンチを買いましょう。私は多少ズレた所で素人のやる仕事に影響が出ることはないと思っているので、コスト面でのつり合いを一番重視しています。台湾製の工具は安価で精度が良いと感じています。

 

コンパクトトルクレンチは公差±4%です。説明書はかなり簡素。

 

E-Valueのは右回りに±4%なので同じです。説明書が大判でかなり見易いのが初心者ユーザーのことも考えていて高ポイント。

 

どちらも左回りにも使えますが、これは逆ねじ用でボルトを緩ませるためではありません。トルクが狂う原因にも成り得るらしいので、仕上げに締め付けるときにだけ使いましょう。

 

 

最後にコンパクトトルクレンチの方なのですが、こちらは数点のヘックス(六角)ソケットが付属していました。使う機会も無いと思っていたのですが、なんとAA04からタイミングホールキャップなどLクランケースカバーにヘックスソケットを使うようになっていました。カムチェーンテンショナーシーリングボルトもヘックスなので、ヘックスソケットも整備には必要だったのです。良く分からない状態で物を買うと後悔や失敗もありますが、その逆もあるのです。必要なソケットがいつの間にか全部揃っていました。

 

 

■トルク豆知識

 

トルクの単位には[kgf・m](読み:キログラムフォースメートル)もあります。kgfとは重力キログラムという単位で1kgの物体にかかる重力加速度の大きさを表します。重力加速度は約9.8m/s2ですから、

 

1 kgf = 9.8 N

 

更に概算で1kgf=10Nとすれば1N=0.1kgfとなって、

 

b [kgf・m] = 0.1*a [N・m]

 

という単位変換の式が成り立ちます。昔はこの[kgf・m]がよく使われていたようですが、最近では国際標準の[N・m]が主流だとか。私もそうですが、初心者がわざわざ複数の単位を覚えるのは混乱するだけなので全部[N・m]で考えた方がてっとり早いです。こちらの単位表示の方がトルクのイメージが掴み易いのでは。

 

更に根本的な話になりますが、1Nは1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力です。

 

1 N = 1 kg・m/s2(読み:キログラムメートル毎秒毎秒)

 

1Nの定義なんて忘却の彼方でした。

 

トルク換算早見表。E-Valueのトルクレンチの説明書から。

 

 

今回紹介したもの

BIKE HAND コンパクトトルクレンチ 差込角6.35mm 2~24N・m

E-Value トルクレンチ 差込角9.5mm 20~110N・m

 

小さいトルクを扱えるトルクレンチは特に一本持っていた方が無用なトラブルが減ると思います。

 

■その他

KTC デジタルトルクレンチ 差込角9.5mm 2~30N・m

高級品ですが値引き率が大きいもの。良く使う指定トルクの範囲の2~30N・mまでカバーできるので、原付の整備であればこれ一本で充足できるのがメリットです。よく使うので、値引き率が大きければこちらを買ってしまっても良かったと思いました。

 

 

JUGEMテーマ:車/バイク

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